斎藤夏輝、子どもの創造性を育てる学校教育について考える。
なんだか最近「学校」がネガティブなイメージになってきているように思える。
いじめや不登校、はたまた教師同士の争いまで、連日メディアで報道されていた。
そんななか、わずか10歳のユーチューバー・ゆたぼんは自ら不登校を選び、学校および義務教育というシステムを否定。
同じクラスの子どもたちが「ロボットに見えた」ため、不登校を選ぶ自由について訴えている。
このゆたぼんの発言に、ネットでは色んな意見が渦巻いた。(私が見た所、大半は否定的だ)
では、本当に学校は『ロボット』を作る場所なのだろうか。
少し学校について、かいつまんでだが色々調べてみた。
時はさかのぼること、2006年。
イギリスの著名な教育アドバイザーであるケン・ロビンソン氏(Sir Ken Robinson)のTEDスピーチが話題になった。
今でも6000万回以上再生されている。
そのタイトルは『Do schools kill creativity?(学校教育は創造性を殺してしまっている)』だ。
(ケン・ロビンソン氏の全文スピーチ・日本語字幕あり)
ロビンソン氏は、今(2006年当時)の学校教育について説明。
世界の教育で共通しているのは、理数科目や語学が一番重要視されており、次に人文系科目。そしてその次にアートとよばれる芸術だ。
しかも芸術科目でも順位があり、美術や音楽、その次にダンスや演劇が位置づけられている。
しかし、ロビンソン氏はこれを疑問視。
ロビンソン氏は、最も重要視されていない芸術(ダンスや演劇も含む)も、理数科と匹敵するほど子どもの教育に必要なのだとスピーチで伝えている。
芸術科目は子どもの創造性(Creativity:クリエイティビティ)を育むからだ。
そもそも理数・語学が重要視され始めたのは、教育制度がテクノロジー発展など産業主義のニーズに直結させるためだったのが一因という。
そのうえ、学校の成績だけが「知性(intelligence)」として考えられている教育の現状を示した。
実は「知性」について3つわかっていることがあるらしい。
1 色んな角度から捉えられる多様性
2 独創的なアイディアを構築する力
3 他人と比較できない個性
だそうだ。
決して、知性とは、身体の脳みそ、それも左脳のみを使うだけの学校教育だけではない。
ロビンソン氏は、動画で、未来ある子どもたちのための教育について、我々大人が根本的に再考しなければならないと主張している。
そして今現在、世界では子どもたちに色んな教育をしようと試みている教師たちがいる。
日本でも、京都の立命館小学校ではゲーム『マインクラフト』を通して、問題解決型学習(PBL)を実施。
その取組みを考えた教師は教育界のノーベル賞「Global Teacher Prize 2019(グローバル・ティーチャー賞)」のトップ10に唯一の日本人として選ばれた。
だが、そんな創造性を育む教育を全国各地が実施しているとは限らない。
私は決して不登校のゆたぼんの意見に賛成の立場ではないし、学校に行くことで勉強以外の発見や経験があると思う。
しかし、ロビンソン氏のスピーチで伝えていたように、10年たった今でもまだまだ芸術科目が軽んじている教育だと思う。
今もなお引続き、子どもたちの多様性についてもっと深く考えなければならない時代なのだと感じた。
彼らが持っている知性や創造性を潰さないためにも、私たちが出来ることを考えていきたい。